▼第5次振興計画スタート アジアの活力取り込む 沖縄復帰40年 空港・貨物ハブ整備など、経済自立の10年に (日経新聞 5月15日)
第5次沖縄振興計画(2012~21年度)がスタートする。政府は11日、新たな沖縄振興策の指針「沖縄振興基本方針」を決定、物流拠点や観光産業の強 化を盛った。新振興計画は15日に決まる予定。計画はこれまで政府が策定していたが、今回は主体が沖縄県に移譲された。沖縄の経済自立に向けたキーワード はアジア。距離が近いアジアの活力をどう取り込むかが振興のカギとなる。
「基地負担」の代償になされる手厚い補助。
沖縄に対する公共事業は無駄ではない。
それは基地負担に対する代償だから。
つまり、「基地本位制」だ。基地本位主義、軍本主義。
デフレ不況が続き、少子化が叫ばれる中で、沖縄は全国トップの出生率と人口増加率を誇っている。
これを「奇妙なこと」とか、「沖縄の風土がそうさせているんだろう」などとマスメディアはとぼけているが、
これが「基地負担」の代償として行われている公共事業によるものだとは、口が裂けても言えないだろう。
まさか、「公共事業による下支えによって少子化(不況)が解消できる」などと言ってしまったら、「無駄な公共事業」を批判できなくなるのだから。
無駄な公共事業をするくらいなら、無駄な日本人はもっと減るべきだ、無駄な地方はもっと寂れるべきだ、日本人はもっと死ぬべきだ、というのがこの20年、日本を覆っている空気(価値観)である。
しかし、その空気(価値観)を封じる手段があるわけだ。
それが「基地負担」というカードである。
公共事業は悪であり、たとえ失業者を活かすためのセーフティーネットであってもモラルハザードで財政赤字が増えるくらいなら失業者が死んでも構わないという空気を打破するためには、そのような「常識」を覆す必要がある。
幸いにして沖縄を過疎と貧困から守ってきたのが、皮肉なことに米軍基地という迷惑施設だったわけだ。
テレビで沖縄の少女が「米軍のいない沖縄になってほしい」的な事を言っていたが、残念なことに、米軍がいなかったらおそらく彼女は存在しなかっただろう。
まさに、戦前の沖縄が現在の裏日本と同様の過疎と貧困にあえぐ地域であり、離島僻地には水道すらなく、医療も惨憺たるありさまで、ゆえにハワイや南洋への移民者は沖縄人が多かったそうなのだから、米軍基地がなければ沖縄で生まれた若者は、そのほとんどが沖縄を出なければ生活できなかっただろう。基地に文句を言うまでもなく、沖縄など誰も見向きもしない土地になっていたはずだ。
それを解決したのが米軍によるインフラ整備であり、もしくは基地負担に対する見返りとして行われた公共事業なわけだ。
戦前は台湾が日本領だったから、沖縄に戦略的なメリットがなかった。
そのため台湾の開発が優先され沖縄は後回しになったわけだが、戦後、日本から台湾が離れ、台湾が独立して中共と対立するようになると沖縄に戦略的重要性が増した。中共におもねって台湾本土に基地を置けなかった米軍は、やむなく沖縄を基地化して極東の軍事拠点とすることにした。もし、台湾に米軍基地を置けるのなら沖縄からはいつでも米軍は出ていくだろう。
それでも台湾が日本領でないかぎり、日本にとって沖縄は戦略的拠点になるので戦前ほどに寂れはしないだろうが、しかし北海道を見るにつけ、緊張緩和がなされるに連れ、「無駄な公共事業の削減」運動を阻止できなくなるだろうが。
その場合にも重要なのが、「軍本位主義」となる。
ようするに「攻めてくるかもしれないんだからちゃんと用意しよう(金を出せ)」という思想だ。
危機管理は価値であり、対価を支払うべきものであるという。これは米軍の軍産複合体あたりも持っている思想であり、人類の根本的な価値観の一つでもある。
だから北海道あたりはもっと北方領土問題をこじれさせてロシアと緊張関係をもたせた方が北海道に対する財政出動は増えるだろう。これはロシアも同様に、北方領土の実効支配を維持するために開発投資を行おうとしているわけで、北方領土の投資という観点から見れば、危機さまさまである。
ちょうど韓国も、一見何の価値もない岩礁(竹島)に基地を作って開発しているが、それを無駄だとは思わないのはそこに金をかけるだけの価値があるからだというわけだ。
そういう、金をかける価値を見つけるのが、「○本主義」とか「○○本位制」といえるだろう。
価値観を操作すればゴミでも価値が出る。
最近問題のケータイのガチャとやらでも、あんな単純な仕掛けでも金を払うのは、それに価値を見出す者がいるからだ。
無駄を削減しろとか、働かざるもの食うべからずとかいう空気(常識)を排除するための「魔法の言葉」がある。
人々の価値観を転換してゴミに価値を見出させるテクニック。
それが沖縄であれば「基地負担」であり、その他にも、原発とかゴミ捨て場とかガレキ受け入れとか、世界遺産とか「弱者」とか「外国人」とか「差別」とかがあるわけだ。
重要なのは、そういう手口があるということであって、それがいけないとかやめるべきというつもりはない。
それはそういうもの、人々の価値観がその程度のテクニックで変わってしまうということだ。
価値観というのは移り変わるもので、現在の日本を覆うデフレ不況も多分に国民の構成する価値観による弊害が大きい。
「金なんか日銀がすったらいくらでも出てくるんだよ」というのが実はデフレ解決の最大の手法なのだが、おそらく多くの日本人はその言葉に対して嫌悪感を抱くはずである。
そういう嫌悪感がデフレを固定しているのであり、つまりそこで必要なのは、沖縄が公共事業を無駄と言われないのが基地を負担しているからだという言い訳で排除できるような、そういう「価値観を転換する方法」なのだ。
沖縄も、米軍抜き、日本政府主導ではない、沖縄独自の経済発展を目指すのならば、「軍本主義」から抜けだして、別の価値観の転換を図らなければならない。東アジアの緊張が緩和し、米軍の存在意義がなくなれば沖縄など、日本の他の離島僻地と同様に「無駄な土地」に成り下がる。
「アジアの活力」などと言って、沖縄自身の活力を無視していれば、結局は戦前と同じく台湾にその座を奪われる事になるだろう。 東アジア共同体だろうとTPPだろうと、沖縄の価値は日中冷戦の地政学的立地以外に、今のところ価値が見出されていないのだ。
それは今後、日本列島自身が直面する問題でもある。グローバル化し、世界が一つの市場に統一され、軍事的・地政学的な立地が価値を持たなくなった時、日本列島の価値は今より確実に下がる。
その時、日本人は価値観の変更を迫られるだろう。
あくまで日本列島の発展を求めるか、それとも日本をあきらめるか。
重要なのは、価値観である。
経済を支配しているのは、人々が共有する価値観(空気・常識)。




by 無心那
【ネタ】総理大臣=県知事